1・始まり、それはある日突然に

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 「ひっひっひ、こんな所に獲物が飛び込んでくるとはのぉ」  老人は掠れた声で嬉しそうに呟くと、俺のほうへゆっくりと近づいてきた。  「ひっ……、く…来るな……」  俺は必死に後ずさるが恐怖の為、思うように身体が動かない……。 不意に、老人の動きが止まる。さっきまでの不気味な笑みが消え、険しい表情になっていた。  「お主、『封魔の書』を持っておるな?契約前の人間か。契約される前に始末しておくかのぉ」  「っ!?」  次の瞬間、老人の身体に異変が起きた。身体が歪み、別の姿へと変わっていく。  「あ…ああ……」  その異様な光景を俺は恐怖に支配された目で、ただ見ていることしか出来なかった……。 老人は目の前で、髑髏の顔に異形の身体、大きな鎌を持つ死神のような姿へと変わった。  「わしはソウルレイス。小僧、下賎な身で我が鎌で死ねる事を光栄に思うがよい」  ソウルレイスはゆっくりと近づいてくる。手に持つ鎌が怪しい死の光を放っていた。 俺の目の前まで来ると、おもむろに鎌を振り上げ一気に振り下ろした。
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