1・始まり、それはある日突然に

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 俺はその日、家の蔵の中の整理をしていた。 俺は『月代 涼』(つきしろ りょう)18歳。 まったく、面倒な事はやりたくないんだけど、なんせ口煩い親父の命令だ。 やっとかなきゃ、永遠と小言を聞かされるハメになる。  「あーあ、さっさと終わらせて昼寝でもすっか」  俺は欠伸をしながら適当に蔵の中を片付け始めた。 広い蔵とはいえ普段からそれなりに整理整頓をやっている…というよりやらされているから割とスムーズに作業がはかどった。 梯子に登り、上のほうを片付けてると小さな箱が目に入った。  「ん?なんだこりゃ?」  好奇心に駆られ箱を手に取った。それは見事な細工が施され、鍵のついた古びた感じの小箱であった。 中身が気になり鍵がないかと探すが、それらしいものは見つからない。 俺は躍起になり強引に開けようとしたその時、乗っていた梯子が傾いた。
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