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よく見ると猫田のハサミだった。
持ち手が2つに分裂してしまった。指を入れても開けない仕様になった。
仕方ないので僕は猫田が買ってきたボンドで修正し何事もなかったかのように机に戻した。
「ハサミ借りるよ~」
クラスで一番面白くないと謳われた土丼がハサミを手に取った。
「あれ~指引っ掛からんから使えんよ~」
悪夢の始まりだった。
猫田「え、それオレが幼稚園の頃から愛用してるハサミ…」
猫田はこちらを盗み見た。犯人は分かっているようだった。
猫田「オレはなぁ、この斯文祭にかけとんや。ボンドやって自腹きって…オレは捨て身なんぞ」
僕はいたたまれなくなった。猫田は確信犯だ。
"捨て身"の使い方が違った気がしないでもなかった。
文化祭のあとで担任が掃き捨てるように言った。
「今回の文化祭でハサミ壊れたんやけどみんなならするべきことは分かってるよね」
みんな確信犯だ。
僕は100均でハサミを購入し猫田の肩に叩き付けた。
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