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それからの俺は家庭での次男にたいする対応が変わっていった。
次男を俺よりも下の立場として扱い、何かイライラする事があったら次男にあたったりしていた。
言葉をちゃんと話せない事をいい事に、勝手に次男の物を自分の物にしたりしていた。
そんな状況が一年くらい続いた。
だが、いつだっただろうか。
その日も次男にあたっているとその現場を母親(以後おかん)に見られた。
「あんたどういうつもり!?」
おかんはどなった。
俺は、何を思ったのか
「いいじゃん、どうせ何も分かんないんだから。俺とは違うじゃん。」
と反論した。まるで自分は何も悪くないかのように。
バチン。
ものすごい音が家に鳴り響いた。
おかんは呆れたような表情だったが、どこか涙目だった。
「あんたそんな風に兄ちゃんをみよったの!?兄ちゃんだって怒る事も出来れば笑う事も出来るでしょ!あんたと何が違うんか!!」
…俺は黙っていた。
「障害者だからってあんたと何が違うわけでもないだろ!毎日あんたと同じで生きてるし、毎日をがんばってる!あんたに人を馬鹿にする権利とかあるわけ!?」
それから一時間以上おかんから色々説教をされた。
そして俺は泣きだした。
おかんが怖かったのもあるけどなにより、次男にしてきた自分の行動に落胆したのが何より…。
その日から俺は自分の考えを少しずつ見直しはじめた。
次男だって俺の兄貴。俺より人生の先輩なんだ。俺よりも人間の汚い所、優しい所が分かってるんだ……と。
それからの俺は次男と普通通りに生活していけた。
そして見方が変わったからだろうか、障害者というのがどういう事か分かってきた。
そして俺は小学校高学年になり次男は中学生になった。
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