123人が本棚に入れています
本棚に追加
母との久々の再会で夏樹は少し浮かれていたが、母の思わぬ話で気持ちが変わった。
母・響子が行っている会社に、美人画を集めている社長がいる。
その名前は山科だった。
依頼者が言っていた名前と一致した。
偶然か、それとも別人か…どちらにしても確かめないといけない。
しかも響子は、社長が借りているマンションの部屋に住んでいる。
おまけに部屋が豪華で広い…広すぎると言った方がいいだろう。
1人で住むにはもったいないくらいだ。
響子が払っている家賃は…たったの5万円。
いくら単身赴任のシングルマザーでも、こんなことをしてもいいのだろうか。
(掛け軸のことといい、このマンションのことといい…。
聞くことがいっぱいじゃない)
食後のお茶をすすりながら、あれこれ考えていた。
「ねぇ夏樹、本当におばさんの仕事場に行くの?」
完全に目が覚めた茜が聞いてきた。
「当たり前よ。
その山科っていう人からいっぱい聞くことがあるんだから」
さっさと食べて、と茜に言い、食べた朝食の食器を流しに持っていった。
最初のコメントを投稿しよう!