確かめたいこと

7/14
前へ
/325ページ
次へ
母との久々の再会で夏樹は少し浮かれていたが、母の思わぬ話で気持ちが変わった。 母・響子が行っている会社に、美人画を集めている社長がいる。 その名前は山科だった。 依頼者が言っていた名前と一致した。 偶然か、それとも別人か…どちらにしても確かめないといけない。 しかも響子は、社長が借りているマンションの部屋に住んでいる。 おまけに部屋が豪華で広い…広すぎると言った方がいいだろう。 1人で住むにはもったいないくらいだ。 響子が払っている家賃は…たったの5万円。 いくら単身赴任のシングルマザーでも、こんなことをしてもいいのだろうか。 (掛け軸のことといい、このマンションのことといい…。 聞くことがいっぱいじゃない) 食後のお茶をすすりながら、あれこれ考えていた。 「ねぇ夏樹、本当におばさんの仕事場に行くの?」 完全に目が覚めた茜が聞いてきた。 「当たり前よ。 その山科っていう人からいっぱい聞くことがあるんだから」 さっさと食べて、と茜に言い、食べた朝食の食器を流しに持っていった。  
/325ページ

最初のコメントを投稿しよう!

123人が本棚に入れています
本棚に追加