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同時刻、昨日の買い物のついでに買った服に着替え、朝食をとっている女子高生が2人いた。
深刻な顔で味噌汁の豆腐を口に入れた藤川夏樹と、眠そうな顔でだし巻き卵を口に入れている和泉茜だった。
この2人も、昨日の土砂崩れで帰れなかったので、単身赴任で鎌倉に住む夏樹の母―藤川響子のマンションに泊まっていた。
今日は電車が復旧するまで、響子が働いているインテリア・デザインの仕事場にお邪魔することになった。
ただの気分転換で行くのではない。
夏樹たちには目的があって行くのだ。
昨日、依頼を頼まれ鎌倉に足を運んだ。
相手は美人画の掛け軸。
掛け軸に描かれている女が掛け軸から出て、自由に徘徊していたのだ。
なんとか鎮めることが出来たが、これで新しいことが分かった。
掛け軸から出て、女が徘徊した原因は人間の仕業だということ。
依頼者の母親の仕事場の社長―山科という人物から掛け軸をもらったという。
心当たりはないが、突然、祖母―政枝が出現し、こう言って消えてしまった。
『気をつけなさい』
祖母と山科という人物、そして御霊部の間に何があったのかは分からない。
お祓い後、響子と久々に再会したが、電車が動いていないと聞かされ、響子の住むマンションに急遽泊まることになり、今に至る。
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