胎児

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葉月は携帯で十夜を家に呼んだ。 数分して明るい声が家の中に響いた。   「お邪魔します。葉月が家に呼んでくれるの初めてだよな。何処にいるんだ葉月?」   「庭にいるわよ」   弾んだ声でクスクスと笑いながら返した。   「あ、居た。…花に水やり?でもなんでそんな棒だけに水掛けてんの?」   不思議がる十夜をヨソに悪戯っぽく少女が   「ナイショッ」   と微笑んだ。 水を出したままホースの口を支柱にはめて、十夜の横へ走り行く…。   「ね?ベットに行こうよ」   そういって葉月は十夜を真っ昼間から誘った。 情事を終え、隣で十夜は静かに眠っている。 そっとベットから這い出し、全裸のまま台所へ向かった。 綺麗に研がれた包丁…。 そのまま十夜がいる部屋に戻った。 幸せそうに眠る十夜に股がると、十夜が目を覚ました。   「んっ…どうしたんだ葉月?」   「…ごめんね」   次の瞬間、十夜の胸には赤い紅い華が咲いた。   「なんで……?」   それが十夜の最後のコトバ。 なんでと問う十夜にそっとキスをした。
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