猫と猫

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夕暮れ それは、あまりに綺麗で、不安なものだ。 だって、ほら夜が闇が近付く。何もかも見えなくなる。 だから俺は外にでた 身を隠すには良い この世界は寒かった。 夕暮れのただ歩くだけの公園。木々がザワザワ揺れる。月が見え隠れしている。 真っ直ぐに続く並木道 歩いてた 太陽の支配が終わり 月の支配の時は本当に美しい ほら、もう 真っ暗 闇に食われたよ 「お兄さん」 突然、呼び止められた。左右見渡すが人の影がない。 「此方」 声を辿ると、木の上にいた。猫を連れている。真っ黒な黒猫だ。 「ねぇ、お兄さん。飼って?」 「猫を?」 「うん、序でに僕も」 「逆だろ?」 「じゃ、逆でいい」 「ジョークか?」 「本気」 「断る」 「連れないなぁ!俺って、そんな魅力ない?」 「他に行け」 「お兄さんがいい」 月に照らされて 顔が漸く見えた。色白な肌。猫みたいな目。髪は黒で肩過ぎの長めのショート。 俺を見ていた目が 細くなった。口が動く 「名前はねぇ、ミケでいいよ」  
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