始めに…

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8月の夏空……… 冬と違い朝から いたる所から 声が聞こえる。   蝉の鳴く声。 ラジオ体操に向かう 子供達。 日陰で寝そべる猫。   麗 『暑い…まだ7時なのに…やってらんない』   仕事が押して結局徹夜。 公告代理店勤務。 彼氏の智とは5日会っていない。   大きなプロジェクトに抜擢されて仕事に追われて最近彼氏にも友達にも会っていない。   徹夜明けだがまた昼過ぎには会社に行かなくては行けない。   麗 『何か…ヤバイ私…』   大学を出て3年。 仕事以外の記憶がない… 仕事は楽しい。 でも… それだけだ。   そんな事を考えながら、自宅へ向かう。 鼻を突く臭いに目を向ける。   麗 『あっ!今日はゴミ出しだった。』   小走りで部屋に向かう。 夏はゴミ出し忘れると厳しい。   部屋に入りゴミを出しに出る。   麗 『もぅ…何やってるんだろ……ん?……』     麗はゴミに埋もれた人形を見つける。 不思議な人形…… 日本人形の様な着物を着けてるフランス人形?   麗 『誰かに捨てられたんだ……何か…不思議な人形……』   気にはなったが、ゴミに出されている人形を拾う気にはならなかった。   少し走っただけで汗が落ちる。   麗 『シャワー浴びよ!少し寝なきゃ』   そう言うと麗は足早やに部屋へ戻った。     そんな後ろ姿を捨てられた 人形が見ている。 いや…人形の視線の先に麗がいただけか……   不思議な人形………
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