何度目かの春

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「始業式なんやから、もうちょいましなかっこしぃや」 「嫌や。俺は俺やし」 「せやなぁ。春は春や。でもなぁー始業式やねんぞ?」 俺のスタイル。 お気に入りのキャップ。 左右色違いのスニーカー。 「solitude」と書かれた黒のTシャツ。 腰パンは当たり前。 抱えるのはギターケース。 「えぇやん、別に。大人なんて子供縛り付けたいだけやんか」 「えぇ考え方やな」 ひょいっと信也が俺のキャップを取り、自分の頭に被せた。 「どや?これで始業式出たろか」 「…辞めとけ。何か可哀想や」 「可哀想言うなや!!」 「春ー信ーはよせな遅れるでぇー」 直隆だ。 屋上の入り口近くで喋ってる。 「あーすぐ行く!!」 「春も連れて来いよー」 「俺は行かん」 「来いて。すぐ終わるから」 「終わらんから行かんの!!」 「担任の顔ぐらい見とけ!!」 結局信也に連れられ、始業式に行く羽目になった。  
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