何度目かの春

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馬鹿でかい体育館に来た。 皆ブレザーをきっちり着ている。 俺を除いて。 「こぉらっ谷坂!!」 「はーい」 「何やその格好は!!まともに授業も出んくせに始業式まで何なんや!!」 「…あ?」 鬱陶しいおっさん。 学年主任の岩城。 固い考え方しか出来んドアホ。 「すんません!!」 岩城の怒鳴り声を遮る声がした。 「…相良」 「すんません、岩城先生。こいつには俺からよぉ言うときます。何回言うても聞きませんけど…こいつもこいつなりの考えがあるんです。ほんますんません!!」 信也は頭を下げ、一気に岩城に言った。 「…相良が言うならえぇやろ。但し、谷坂。今度と言う今度は許さんからな」 ベーッと岩城の背中に舌を出す。 すると、ペシッと頭を叩かれた。 「ほれ言わんこっちゃない。怒られたやろ?」 「ガッチガチの考え方しか出来ん岩城があかんのじゃ」 「ははっそーかそーか。せやけど、岩城がおる時ぐらいはちゃんとせぇよ?」 信也は頭ごなしに怒らない。 ただ、ゆっくりと教えるように言う。 主張を否定しないし、寧ろ同意してくれる。 それから、笑い飛ばしてくれる。 …俺のよき理解者。  
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