第一章 上洛

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「出過ぎた真似を致しました」 佐吉は、わざとらしく丁寧に頭を下げる。 「そ、そうよ!! おばあちゃんだなんて、あたしまだ十八なのに」 どうしてこんなに、心の臓が言うことを聞かないんだろう。 「サクラ様なら、きっとかわいいおばあちゃんになられますよ」 佐吉は、やけに真面目な顔でそう言った。 あたしも、“もう”十八なのよね。 いつだって、結婚できる年になっちゃった。だけど。 胸が軋む。 「そのころ、となりにいらっしゃるおじいちゃんは、どなたなのかしらね」
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