第一章 上洛

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別れ際、あの方と交わした約束を、後生大事に守っているあたしを、佐吉どころか殿まで心配していた。 もう、二度と会うことはないのだからと、 何度そう諭されたことか。 確かにその通りなのだけれど。 この頃すでに、あたしは大きな仕事を任されており、しかも殿に仕えている身では当然のことながら、自由にどこにでも出られるはずもなく。 只三郎様のお父上に、養子先は、江戸の旗本だと聞いた。 どう考えても、あたしには遠すぎる。
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