第一章 上洛

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佐吉が言うことはもっともだ。 確かに疲れたし。 のどが渇いたし。 寒いし。 鼻水も垂れるし。 それでも、あたしはいてもたってもいられなかった。 だけど、一休みしたいのも確かだ。 そこで、ちょうど見えてきた茶店に駆け込む。 「お姉さん、団子三つとお茶二つ下さいな」 「サクラさま、三つですか?」 運ばれてきた三皿の焼き団子とあたしを、佐吉は交互に怪訝な目で見比べる。 あたしは団子を二皿口に押し込み、お茶で流し込んだ。 「あっつい!」 「サクラ様、せわしないですよ」 あたしにつられて、佐吉もすごい早さで団子を平らげた。 さっさと身なりを整えると、 「十分休んだわ、行きましょ」 あたしは金襴緞子の包みに納められた薙刀を担ぐ。 さっきまで佐吉が担いでいたものだ。 「ああ、おなごなのにそのような。私が持ちますから、もう……」 佐吉が店のおばあさん(あたしはお姉さんとか呼んだけど)に慌てて勘定を頼んでいる姿は背中の向こう。 ゆっくりなんか、している時間はないのよ。 あたしの足取りは強かった。 殿、 サクラは、間もなく参上いたします。
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