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あたしたちは、そのまま道端の岩の上に腰掛けて休むことにした。
うなじに汗で張り付いた髪を、涼やかな風がぬぐう。
いつの間にか秋が深まっていたのだ。
武州、箱根、東海道と上ってきたが季節が少し違って感じられた。
ここの風の冷たさは会津に似ている。
落葉を始めた広葉樹の根元を足で探ると、カサカサと乾いた音がした。
頭上を鳶が、ピーロローと鳴きながら通り過ぎる。
初秋の風が木々を揺らす音を、なんでか懐かしく感じて──、
旅って、日常からの離脱なのかな。
ふと、そんなことを考えた。
「佐吉……?」
さっきから黙ってるのは、何で?
そこまで言えなかったけど。
やっぱり、怒っているのかしら、て……。
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