はね

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はね

「…でも、天使はね。  未来を見つめるの。  生を授かり、生きる限り、  未来はあるのだから。  そう思えたのはね、  ――自分の隣で、  微笑んでくれる  人がいたから。」 ずっと…私を見て、 彼女は 聞かせてくれた。 ――そうか… 西日が、 彼女にオレンジの翼を 与えているのは… 「…うん…。  私は、貴女が  生まれた事、  生きている事、  そして、何より  生きようと頑張って…  会えて良かった。  ありがとう…。  産まれてくれて、  生きてくれて。  ――頑張った、ね…」 彼女をぎゅっ、と 私は抱きしめる。 ――例え話が多いなぁ。 彼女に思った事がある。 それは、 彼女なりの防御だったから。 ――あの日、見た… 彼女の背にある傷は、 白い翼があった証拠。 神様という、 両親がいた証拠。 そして、 両親から受けた傷。 知らなかった…。 だから、知った。 彼女は、 私に全て見せてくれた、 と。 私に何ができる? ――ううん、違う。 私は、どうしたい? 私は、彼女と…――
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