ばあちゃんは

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彼女とlove電話をして、かなり遅い時間だが、適当に飯を作って食べる。昨日……初日は気付かなかったけど、食卓はかなり静かだった。 リサイクル住宅とはいえ、うちの床は比較的綺麗なフローリングで、それらしいのは壁が土だということと、梁がむき出しだということだけ。あとは普通の家と全く変わりない。 だけど今日は、いつもうるさい奴等の声を抑えていた壁が、必要以上にざわめきを吸い取っている。 家の中は落ち着かない位に静かで、至る所が暗くて、嫌な雰囲気を掻き立てる。 だから、いつもはしないけど、テレビを付けた。時間もいつも観ているバラエティ番組の時間だ。ゲラゲラ笑って、食べ終わったのはもう深夜だった。 「うーわ。遅いし!」 一人で時計を見ながら空笑い。 ――空しい。 溜息をついて、片付ける。 ちょっと暗い台所は、他の部屋より少し涼しい。 膝までの短パンを履いた足許を、ちょっとだけ、風が吹き抜ける。 生暖かくて気持ち悪い。 離れにも誰も居ないと思い出して、ちょっと不安になったけど、とにかく片付けて部屋に帰る。何となくキッチンの電気を点けたままで。 不安というより、なんだか首の後ろが微かにピリピリして、夜更かしをやめて、風呂に入って寝る事にした。 風呂場はちょっと大きめのユニットバスだ。脱衣し、手早くシャワーを浴びて体を洗う。 ――何か……暗い様な……。電球切れたかな? 首の、電気の走るような感じが、段々強くなっている様な気がして、急いで、風呂場を出る。 パシッという、軽い音がして、脱衣所の明りが一瞬消えた。 ――っ、な……何だよ、今の……それに、すげえ寒い……
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