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和也は真琴の様子など気付かず、千紗に駆け寄り、微笑んだ。
「昨日より調子良さそうじゃん!今日はどうしたんだよ」
小柄な千紗の、細身の体。真琴とよく似た白く細い首筋には、短くカットされた、黒い髪が沿っている。
「和也、真琴借りてくから」
千紗は微笑みを浮かべて、前に立った和也の右をすり抜ける。不意に和也の鼻に、消毒薬の、あの独特の香りがついた。明らかに千紗から。いや。千紗以外に思い当たらなかった。
和也は急に不安に駆られ、千紗と真琴を振り向いた。
たくさんの生徒たちに揉まれながら、真琴は、千紗に引きずられる様に学校裏の方へと離れて行く。
和也は唖然としてそれを見送った。
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