人になりたいと願った猫

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ここに来て知ったのは、日が暮れると男に呼ばれてお姉さんたちが出掛けて行くこと。 出て行ったら朝まで帰って来ないこともある。 帰ってくると、ぐったりしてたりする。 そして、ちょっと違う独特の匂い。 僕はどうもこの臭いは好きじゃない。 後々に知るんだけど、ここは男と一緒にしゃべったり お酒とかいう変な水を飲み交わしたりする場所らしい。 今までとは全く違う生活にも慣れ始めた、そんなある日 部屋が分からなくなって、フラフラッて部屋に入り込んだんだ。 そこにいたのはお姉さんと男。 男が近付いて来て撫でて貰えるかな?って思って鳴いてみたたら 「なんだこのキタネェ黒猫は?出てけっ!気持ち悪い!」 って、思いっ切り蹴られたんだ。 僕の体は空を舞って、硬い床へと落下した。 痛くて何が起きたかわからなかった。 ただ、分かったのは 心配そうに駆け寄ろうとするお姉さんに詰め寄る男の姿と、聞き慣れたもう一つの足音が最後に飛び込んできたというだけ それを最後に、僕の意識は遠のいた。
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