契約

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「………!!」 直也は、心の奥底から恐怖を感じた。 これと比べたら、さっきの恐怖など生温い。 「………」 少女がこちらに歩み寄ってきた。 華奢な体つきで、普通にしていれば美人の部類に入る中高生だろう。 いや、本当に可愛いと思える。 しかし、さっきの光景を見てからでは、その凛々しく綺麗に整ったような顔は恐怖でしかない。 美人の無表情というのは、ここまで怖いものなのか。 「お前、人間?」 「は……?」 「だから、お前は人間?」 直也は少女の意外な一言に戸惑った。 言わなくても人間とわかるだろう。 宇宙人などと言い始めたら、恐怖など一瞬で飛んでくれるだろうに。 「もういい……」 あきれたのか。 少女はそう言い、直也の方に手をかざしてきた。 「………!?」 その瞬間、直也の下に魔法陣ができ、その魔法陣光は放った。 今度こそ殺される。 そう思った。 「魔力が感じられない。正真証明の人間みたいね」 特にそれらしい事はされなかった。 「悪魔と契約も結んでいないみたいね」 「………?」 少女は興味深そうに直也を眺め、 「決めた。私と契約して」 そう言った。 間違いなくはっきりと。
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