契約

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「は……?」 あまりに意外な事を言われ、直也は唖然としている。 聞き間違いと言いたいが、あそこまではっきり言われては否定できない。 「契約……意味わかってる?」 「……俺がお前とか?」 「そう」 直也はようやく脳内の整理ができた。 いや、正確には覚悟を要求されたのだが。 「……なんでだ?」 「私が契約したいから」 「いや、いきなり言われてもな……」 さすがに正体不明の悪魔、しかも異常なまでに強いとなると、OKは簡単に出せない。 が、 「それとも何?私と契約するの嫌?」 少女は、刀を突きつけてきた。 さすがにこれは怖い。 「か、刀は反則だろ……」 断ったら確実に殺される。 とは思わなかった。 さっきまでの、圧倒的な威圧感は無い。 それに、なぜか拒む気にはなれなかった。 刀で脅されているからではなく、なにか本能的なものが。 「……わかったよ」 それで結局、OKを出してしまった。 「じゃあ契約を……」 「ちょっと待った」 直也はある事に気付いた。 いや、誰でも考える事だった。 「契約は祭壇でするもんじゃないのか?」 それが基本。 というより、それ以外など無いはずだ。 「その辺の悪魔はね」 「その辺ってどの辺だ……?」 「……その辺はその辺。とにかく深く考えないで」 少女はバレバレの誤魔化しをした。 その反応が、少し可愛く感じた。 それを本人に言った瞬間、刀が振り下ろされそうだ。 「誤魔化すな!!」 「静かにして……契約の儀式から」 気づいた時には、既に契約の儀式が始まっていた。 なんだか自分勝手な少女だ。 「―――!?」 足元に魔法陣が出現した。
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