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神篠町にある、至って普通の公立高校。
その高校の一年の教室で、一人の男子生徒が叫んだ。
「皆聞いてくれ!!」
教室の中心で。
別に世界の中心ではない。
「どうした?また妄想か?」
「違ぇよ。こいつを見てくれ!!」
男子生徒がそう言うと、右手の甲にある紋章が光り出した。
それと同時に、床にも魔法陣ができる。
「昨日、やっと悪魔と契約したんだよ」
「へぇ……ベビードラゴンか」
「うわぁ、いいなぁ……」
教室にいる他の生徒達は、男子生徒のところにぞろぞろ寄っていく。
そのベビードラゴンという悪魔は、けっこう珍しいのだ。
「さて、このクラスで悪魔と契約を結んでないのは、直也君だけになりました~」
クラスメートの視線が、一人の男子生徒に一斉に向いた。
クラスの中で唯一契約を交わしていない、神童直也だ。
「………」
直也は特にこれといった反応は無く、素っ気なくそっぽを向く。
「まあまあ、そんなにスネなくても…」
ベビードラゴンと契約を交わしたクラスメイトが、嫌味っぽく直也に言った。
それで腹が立たないわけがない。
「………」
直也はクラスメイトに少しだけ睨むように視線を向け、無言で教室を出ていった。
明らかに怒っている。
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