契約

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直也は山を歩いていた。 木々が生い茂り、非常に動きずらい。 それに今は六月の終わり。 ジメジメするような、暑苦しいような。 非常にイライラする気候だ。 「痛ぇ!?」 そんなイライラを促進させるように、直也の顔に木の枝が突き刺さった。 意外と痛い。 「木の枝、凄まじい攻撃力だ……」 木の枝にめげず、前に進んだ。 「確かこの辺に……あった!!」 直也の進んだ先には、遺跡のような祭壇があった。 昔に一度来て以来、まったく無縁だった場所だ。 契約の祭壇。 悪魔と契約を結ぶには、ここに来なければならないのだ。 「さて、どうするか…」 直也はしばらく考えた。 来たのはよかったが、なにをすればいいかわからない。 「とりあえず行くか……」 ジッとしていては意味が無い。 そう思って一歩踏み出した瞬間、 「―――!!」 何かがものすごいスピードで通過。 その何かは、直也の頬をかすめていった。 「外れた~」 「………!!」 残念そうに呟いているのは、プチデビルと呼ばれる悪魔。 なにやら人形でありそうな見かけをしているが、立派な悪魔だ。 「次は外さないよ~」 「………!!」 直也は動かなかった。 いや、動けなかったのだ。 恐怖心というものが、自分の足を震えさせていた。 「風刃!」 「………!!」 風の刃が直也に向かって飛んだ。
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