24995人が本棚に入れています
本棚に追加
/1136ページ
直也は本能的に目を閉じた。
それは迫りくる恐怖から逃げるためなのかもしれない。
「………?」
しかし、その恐怖も一瞬で消え去った。
腰の辺りまで伸びた漆黒の髪をした少女が、マントのようなものをなびかせて直也の前に立っていた。
「お前は…?」
「下がって」
顔までは確認できないが、身長を考えると同い年か年下だろうか。
声には少し幼さが残るものの、なにか威厳を感じた。
それにその少女の後ろ姿は、どことなく凛々しく見える。
「なんだよお前~。オイラの獲物だぞ?」
「今すぐ帰るべき場所に帰って」
「は?なに言ってんの?お前が帰ればいいじゃん」
プチデビルはケラケラ笑いながら言ったが、次の瞬間には表情は凍り付いた。
「私に殺されるか、大人しく帰るか……どっちがいい?」
辺りは時間が止まったかのように静まり返った。
少女からは異常な威圧感が放たれ、もはや喋れるような状況ではなかった。
最初のコメントを投稿しよう!