契約

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直也は本能的に目を閉じた。 それは迫りくる恐怖から逃げるためなのかもしれない。 「………?」 しかし、その恐怖も一瞬で消え去った。 腰の辺りまで伸びた漆黒の髪をした少女が、マントのようなものをなびかせて直也の前に立っていた。 「お前は…?」 「下がって」 顔までは確認できないが、身長を考えると同い年か年下だろうか。 声には少し幼さが残るものの、なにか威厳を感じた。 それにその少女の後ろ姿は、どことなく凛々しく見える。 「なんだよお前~。オイラの獲物だぞ?」 「今すぐ帰るべき場所に帰って」 「は?なに言ってんの?お前が帰ればいいじゃん」 プチデビルはケラケラ笑いながら言ったが、次の瞬間には表情は凍り付いた。 「私に殺されるか、大人しく帰るか……どっちがいい?」 辺りは時間が止まったかのように静まり返った。 少女からは異常な威圧感が放たれ、もはや喋れるような状況ではなかった。
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