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アリス………アリス…
「あれ…?誰かが呼んでる。誰だろぅ?」
アリス…僕のアリス…早く…僕を探して…
「誰?あなたは、探すって何?」
「アリス!アリス!?早く起きなさい!また読書中に居眠りして!」
アリスはお姉さんの声に無理矢理起こされた。
「また変な夢を見たの…。誰かが私を呼んでいる夢」
お姉さんはフゥと溜め息をついた。
「またなの?あなたいつも変な事ばかり言っているからそんな夢も見るのよ。真面目にお勉強もしないで!」
「だって面白くないんだもの。挿絵もない本なんか読んで面白いだなんて、お姉さまの方が変よ。私の頭の中の世界では全てに色が付いてあって本も挿絵しかないのよ。私の世界では全てがアベコベで奇妙なの。」
アリスは勝ち誇った様に姉に言い放った。
お姉さんは困り顔である。
「ね!ダイナもそう思うわよね?」
『ミャオ?』
ダイナとはアリスが飼っている子猫である。
アリスは自分の世界の事をいつもダイナに話して聞かせているようだ。
「そうね…少し休憩にしましょう。」
お姉さんが紺負けしたように溜め息混じりで言った。
アリスはまた木にモタレカカってダイナにお喋りしている。
「私の世界では………………。」
気付くと向こうから時計を持って服を着た兎が走ってきた。
「服を着た兎?!凄く急いでるわ!何があるんだろ!舞踏会か何かかしら?
兎さん!待って!兎さん!」
兎は酷く急いでいる様子で兎の穴に入って行った。
アリスも負けじと追い掛ける。
子猫のダイナは心配そうに見ていたが、アリスは兎の穴に落ちてしまった。
それが全ての始まりとは知らずに…………。
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