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彼女と出会う為に、俺はこの町にやってきたのかな……?
気がつくと、俺も彼女と一緒に手を合わせていた。
「…良かった」
そう言うと彼女はフラフラと売春街の方に歩いていった……。
この時俺は、この女を初めての相手にしたいと心の底から思った……。
俺は密かに彼女の後を追った。
ここで彼女を見失ったら一生後悔する気がした……。
彼女は売春街の真ん中を堂々と歩いて行くと、カーテンが閉まっている一軒の店の前で立ち止まった。
そしてポケットから鍵を取り出し、ドアの中へ消えていった……。
俺はしばらくの間、少し離れた電信柱の陰で、タバコを吸いながら彼女の様子を伺っていた。
周りの店の娼婦たちが俺に話し掛けてきたが、愛想笑を浮かべながらも視線は彼女が入った店から外さなかった。
しばらくするとカーテンが開き、上着を脱いでキャミソール姿の彼女がひょっこりと顔を出した。
彼女は店先に手書きで書かれた「日本人の店」という張り紙を貼り、路地を通る男達に声をかけ始めた……。
その時、俺の中で衝撃が走った。
彼女はこの町の娼婦だったのだ……。
一時的にショックを受けた俺だったが、すぐに別の考えが頭を過ぎった。
ここは売春街で彼女とはここで出会った……。
この展開で彼女が娼婦でも何の問題も無い。
むしろ自分が好きになった女が、金を払えばヤラしてくれるなんて、こんなおいしい展開はそうないもんだ。
俺は自分の心の整理をして、ゆっくりと彼女の方に近づいていった……。
【続く】
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