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俺は正直緊張していた……。
目の前にいる女に何を話していいのか、頭の中は真っ白になっていた。
すると女の方から俺に話し掛けてきた……。
「あんた、さっきの…今日の相手決まった?」
「…いや、まだ決めてないけど」
「あなた今日が初めて?」
「……」
俺は黙って頷くことしかできなかった……。
「あたしじゃダメ?」
「……いいよ」
「じゃあ、決まり」
女はニッコリと微笑み俺を店の中に連れ込むと、ドアを閉めカーテンを閉めた。
その場に立ち尽くしている俺を、女は手際よく二階に連れて行った。
二階の一つの部屋に通されるとそこは別世界だった。
四畳半ほどの小さな畳張りの部屋はピンクの照明に照らされ、幻想的な世界を作り出していた。
部屋には独特の空気が漂っていて、これから始まるコトをうまく演出しているようだった。
女は俺に金を要求してきた。
俺が値段を聞くと女は「一万円」と答えた。
俺は北川から話を聞いていて「黄金町」の値段を知っていた……。
この部屋に入るまで俺はいくらに値切れるかを考えていた。
しかし、女に言われるままに、俺は一万円を支払っていた。
別に一万円が高いと思わなかった。
この女と出会ってから、俺は金などどうでもよくなっていた……。
女は一万円を鞄の中にしまうと、服を脱ぎ始めた……。
それはいかにも慣れた手つきで、みるみるうちに彼女は下着姿になっていた。
女の着替えに見惚れ、その場に立ち尽くしていた俺に、女は「あなたも脱いで…」と呟いた。
俺は暗示をかけられたように、女の言葉に従って服を脱ぎ始めた。
【続く】
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