第一章 ピンクの町

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    2 俺は正直緊張していた……。 目の前にいる女に何を話していいのか、頭の中は真っ白になっていた。 すると女の方から俺に話し掛けてきた……。 「あんた、さっきの…今日の相手決まった?」 「…いや、まだ決めてないけど」 「あなた今日が初めて?」 「……」 俺は黙って頷くことしかできなかった……。 「あたしじゃダメ?」 「……いいよ」 「じゃあ、決まり」 女はニッコリと微笑み俺を店の中に連れ込むと、ドアを閉めカーテンを閉めた。 その場に立ち尽くしている俺を、女は手際よく二階に連れて行った。 二階の一つの部屋に通されるとそこは別世界だった。 四畳半ほどの小さな畳張りの部屋はピンクの照明に照らされ、幻想的な世界を作り出していた。 部屋には独特の空気が漂っていて、これから始まるコトをうまく演出しているようだった。 女は俺に金を要求してきた。 俺が値段を聞くと女は「一万円」と答えた。 俺は北川から話を聞いていて「黄金町」の値段を知っていた……。 この部屋に入るまで俺はいくらに値切れるかを考えていた。 しかし、女に言われるままに、俺は一万円を支払っていた。 別に一万円が高いと思わなかった。 この女と出会ってから、俺は金などどうでもよくなっていた……。 女は一万円を鞄の中にしまうと、服を脱ぎ始めた……。 それはいかにも慣れた手つきで、みるみるうちに彼女は下着姿になっていた。 女の着替えに見惚れ、その場に立ち尽くしていた俺に、女は「あなたも脱いで…」と呟いた。 俺は暗示をかけられたように、女の言葉に従って服を脱ぎ始めた。 【続く】
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