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「ふう……一人は辛いのう……」
巫女服に身を包んだ小さな少女がたるそうに呟いた。
回りは石造りのだだっ広い部屋だ。
もっとも、人は結構いるのであまり広いと感じないが……
その部屋の近くにある黒い扉から少女は出できたようだ。
少女は重い足取りで近くのカウンターらしきところまで歩いた。
カウンターには短めの金髪の女性が微笑を浮かべていた。
金髪の女性は少女に気づくと、更に嬉しそうな顔をした。
「あら、お仕事お疲れ様」
笑顔を絶やさず言った。
「……あぁ」
少女は気のない返事で応えた。
「どうしたの?元気がなさそうね」
「うむ……一人で仕事するのは退屈じゃなぁーと思って」
少女は意味深な表情を浮かべた。
それを見て、納得したように金髪の女性が手元の書類に手を取る。
「わかったわ……パートナーね。良さそうな人がいたら貴女に回すわ」
「うむ、話しが早いのう」
「あっ、そういえばこれ、今回の仕事の報酬ね」
そう言って金髪の女性はリンゴを少女に手渡した。
「おぉ……ありがとうなのじゃ!」
少女は満足した様子でリンゴを受け取った。
「むふふ……どんな奴が来るか、楽しみじゃ」
少し微笑み、手に持ったリンゴを持て遊びながら呟いた。
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