運命

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『ハル、もう一つ決心したことがあるんだ。聞いてくれるかな。』 ハルは何?という顔をして僕を見つめた。 『俺はまだ高校生だ。しかもこれから大学受験で、自分の夢のために頑張んなきゃ。ハルは自分の病気治すの頑張んなきゃダメだぞ。でもここには毎日来るから安心して。そんで、ハルも元気になって俺も自分の音楽で飯が食えるようになったらさ、………俺と結婚しよう。ハル、死ぬまで一緒にいよう。』 僕はハルに自分の想いを伝えた。これ以上は何もない、自分の全てを伝えた。 ハルはうん、と一回頷いて笑顔になった。 それまで見たこともない笑顔で笑った。 そのあと僕はハルの肩を軽く抱き寄せて、優しくキスをした。 ハルは僕の胸に顔をうずめて小さなかすれ声で言った。 それは赤ん坊の寝息のような小ささで聞き取れなかった。 でも、僕にはわかった。 ハルは確かに、 ありがとう… そう言ったんだ。
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