僕とハル

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『あんた、こんな成績で大学いけると思ってんの?あんたの高校はあんまり頭いいとは言えないんだからね。ギター弾くのはいいけど、少しは勉強しなさいよ。』 うちの母親はなにかとうるさい。 毎日のように勉強勉強って、それしか言うことはないのか。 『まったく…。お姉ちゃんは真面目に勉強してちゃんと良い大学行ってるじゃない。あんたも少しは見習いなさいよ。』 うちの母親はかなりうるさい。 しかもすぐに姉と比べたがる。まったくもううんざりだよ。 『あんまり武にうるさくすんなよ。武にだって自分の考えがあんだからよ。自分の生き方くらい自分で決められるさ。なぁ武?』 うちの親父はやさしい。 母のように勉強に関してうるさく言わない。 でも、この前の数学で一桁をとったときはさすがに怒られた。 父が僕を好きにさせてくれるのには理由がある。 父も学生の頃、僕と同じようにミュージシャンを目指していた。 夜な夜な街にくり出してはギター片手にあっちこっちで歌いまわっていたそうだ。 それはもう毎晩のように…。 音楽はその頃の父の全てだったらしい。 だが父は結婚した。
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