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ある市の郊外には子供達から幽霊屋敷と呼ばれているレンガ造りの大きな屋敷があった。
なぜだか理由はわからないが、ずいぶん前から人が住んでいないようだ。
その為、草は生い茂り、窓ガラスも割れていて、この家の前を通るだけでも薄気味悪い位だった。
6月も初めの土曜日、怪談に興味をもっている啓一(仮名)は同じクラスの義男(仮名)に幽霊屋敷探検の話を持ちかけた。
「幽霊屋敷ってあのレンガの家のことだろ?」
「うん。一度あそこの中に入ってみたいと思ってるんだ」
「でも、本当に出るって噂だぜ」
「だからそれを確かめに行くのさ」
「分かった。で、いつ行く?」
「今日の夕方はどう?」
「夕方だって!オレ嫌だよ」
元々臆病な義男は夕方と聞いて後込んだ。
「じゃあ、今からならどうだ?」
「まあ、それならいいよ」
話がまとまると、一旦啓一の家に寄って、簡単な準備をした。
出掛けに啓一はテーブルの上にあったテープレコーダーをポケットに入れた。
「そんなもの持って行ってどうするの?」
「うん、何かに役立つかもしれないだろ?それに探検した証拠をテープに撮っておこうぜ」
「なるほど~」
2人は自転車を飛ばして20分程で屋敷に着いた。
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