狂気的な5のお題

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真っ赤に染まる、視界 -------------------- 「泣いても、いいんだぞ」 「泣かないよ」 「…そうか」 「うん…」 夜毎、夢に見る、あの日。 一瞬で総てが赤く染まった、あの夜。 喪失感と、痛みと、迷い。 覚悟はしていた。俺達はいつ死んだっておかしくはなかった。死神になると決めた時、死すら覚悟した筈だった。 それでも揺らいだ、決意。 飛び散った鮮血、貫かれた友の体、付着した、暖かい朱。 右目を潰されても、痛みを感じている余裕なんかなかった。 ただただ、俺の周りは、紅かった。 目をそらす事も、現実を否定する事も出来なかったあの夜。 あの日から今の俺になるまでに、何度となく刀を握り、幾度も振り上げ、数え切れない程の死を見た。 俺はきっと強くなった。 青鹿も蟹沢も…あいつらの事は何十年経ったって忘れない、忘れる気もない。 俺は、これからもあいつらの分まで強くなって、此処で…みんなで目指したこの場所で、生きていく。 死んだヤツら全ての思いを背負うなんてのは格好つけだけど… 「強く、なるよ」 「…そうか」 大切なダチを失った。仲間も部下も何人も失った。 だから、少しでも多くを守れるように。 「俺、東仙隊長の副隊長に任命された」 「そうか」 「うん」 「……頑張れよ」 「ありがとう、阿近さん」 ポン、と俺の背中を軽く叩いて、阿近さんは歩き出した。 その背中は決して逞しくはないけれど。 …こうして俺を気遣ってくれる、アンタも、護りたいんだよ。 血に染まぬ道を目指すと、あの人は言ってくれた。 なら俺は、その為に尽くしたい。 例え何度紅く染まっても。 進む道が朱に侵されても。 この目が見る世界が、赤くても。 「もう、失いたくないんだ」 真っ赤に染まった世界の中で、 護る強さを。 「アンタも、簡単に死なないでね」 **** [修(阿修)] 修卒業後、副隊長就任前 仲間の死骸の中に立ち尽くす修兵。 阿近は慰め合うための人じゃない。 新種の虚は全て藍染の試作。 修の決意は始めから打ち砕かれて。
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