『魔王』

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蛇口から流れる透明な水がてに付着している。『朱』い液体を洗い流す。倒れている奴が血を流すのは大好きだが返り血は大嫌いだ。 なぜならそこに恐怖や絶望はないから。 濡れた手を制服に擦り付け水を拭き取る。 俺はハンカチは使わない。以前遊んで(喧嘩で)付いた血をハンカチで血を拭いたら、洗濯している妹君に長々とグチグチ言われたからだ。 思い出すだけでもかったるい。 少しイライラが募ってきた。 何処かにストレス発散のオモチャは…。 駅のトイレから出る。 と、そこには…。 『で、出てきたな末永!!』 『てめぇ、今日と言う今日は…』 ミジンコが何か日本語しゃべってやがる…数は…。 指を指しながら1人1人数えていく。 『ほ、ほら、何とか言ってみろよ末永…』 うるせぇ数えらんねぇじゃねぇか… 『こ、この数でも…』 『うっせぇっつってんだ!ミジンコ!!今数えてんだからだまってろ!!』 光が吠える!!恐怖したのか光を囲んだ不良達が一斉にピシャリと口を閉める。 再び光が指折り数えていく。 『29…30…31…32…33…34……34人か?クックック♪たった34人でこの俺をどうしようって?クックック♪』 その姿は堂々としていて34人の不良を目の前にしても恐れなど微塵にも感じさせない。 『だ、だまれや!!お、おい!!やっちま…。』 光が手を前に出し相手の言葉を遮る。 『まぁ、待てよ。疑問に思わねぇか?何で俺がびびらねぇかよ?』
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