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皐月はビルの冷たいコンクリートに背中を合わせ、寄り掛かったまま座り込んだ。
サンダルを脱ぐと、皮の剥けた小指がジンジンと痛んだ。
皐月にとってはそんな痛みは慣れっこだった。
「またやっちゃった…。」
焦点を定めたまま、その傷をじっと見つめていた。
短いスカートのポケットの中から、着信の音がなった。
「もしもし。」
「四万でどう??」
電話の奥から聞こえてきたのは見知らぬ男性の声。
落ち着き払ったその声に皐月はため息をうつ。
――男は欲望の向くままに性を欲する――
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