皐月

6/10

41人が本棚に入れています
本棚に追加
/161ページ
気がつくと窓からは光がさしていた。 起き上がってコンタクトの張り付く目をこすった。 さっきまで同じベッドにいた男は、小さなメモを残して消えていた。 「先に出ます。じゃぁね。代金は払っておくよ。」 服を着ると、昨日の夜、男に渡された四万円が、くしゃくしゃになってはいっていた。 ついさっきまで、自分を抱いて 「ずっと一緒だ。」 何て言っていた男は、皐月の前から一瞬で姿を消したのだ。 誰もいない家に皐月は帰った。 閑静な住宅地で、バイクのエンジン音一つ聞こえない。 外は晴れていて皐月を憂鬱にさせた。
/161ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加