皐月

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「ただいま。」 返事はどこにもない。 ドサッと長いソファーに腰を下ろした。 ポケットの中からくしゃくしゃになった四万円を出して、綺麗に片付けられている机の上に置いた。 皐月はこの二階だての広い家に一人だった。 台所の湯沸かしのボタンを押し、風呂場へ向かう。 下着をはずして、入ろうとしたとき、ふと自分の体が鏡に写ったのを見た。 さっきまで見知らぬ男に抱かれていた体が… 自分が写っている。 「…っあぁぁーーーーー!!!!」 反射的に皐月は大声を出した。 風呂場の中に少女の甲高い声が鳴り響く。
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