夜の蝶

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二人は私の言葉に歓喜の声をあげると私の眉間から指を離しまた後でという言葉を残し足取り軽く自分の仕事に戻る、私はそんな彼女達の様子にクスリと笑い声を漏らすと大きく両手を天井向け伸ばし体を伸ばすと手を下げ再びデザイン画と向き合いペンを走らせる。 そして今日は残業もせずに仕事の書類を揃え片付けると鞄の中にしまい込み、コートを羽織りエレベータホールからエレベータに乗り込むと二人が待つ会社入口へと足を進め。 「お待たせしました」 『お疲れ様です』 『お疲れ、じゃあ行こうか』 テンションの高い二人に引き連れられ会社前からタクシーに乗り込む、仕事に煮詰まっていたそれもある。 けれど本当の理由を吐露してしまえば灰斗を失ってぽっかり穴が空いた心が一人になると余計にそのことを実感させ胸を締め付けた。 逃げてしまいたかった。 その胸を締め付けて止まない苦しみからその逃げ道が仕事だったのにその仕事さえ行き詰った私は息の仕方さえ忘れようとしていた最中の誘い。 私にとって救いの糸だった、タクシーをビジネス街から走らせ暫くすると街は煌々としたネオンに染まる。
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