異種

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その日の練習も終わり 街にネオンの灯りがともりだす頃 武田は朝、陽介に合った河原の土手で空を眺めていた (俺も今年で30か…‥) キックボクシングと言う競技の性質上、選手として居られる期間は極端に短い 30と言えば世間的には働き盛りでもスポーツの世界ではどうだろう? 武田が今求めているのは プロライセンスでも 華やかな勝利でも無く 納得のいく敗北だった 格闘技に小さな頃から夢を見て その夢に本気になった時から自分の身体を虐めぬいてきた しかし確実に迫る年齢と限界 自分の技にが衰えが始まる前に最後で最高の勝負を そして自分の夢を覚まさしてくれる敗北を求めていた 田中 琢磨…‥ 杉山 陽介…‥ こいつらの居る大会なら自分を夢から覚まさしてくれるかもしれない 武田は密かな期待を胸に抱いていた
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