彼の名前

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    やんややんやとはやし立てる他の先生方に愛想笑いをすると、力の抜けた校長を床に座らせる。ごろんとひっくり返った校長を見下ろしながら仕方なく挨拶をした。 「あー…ご紹介頂いたとおりに…澤村です。よろしくお願いします」 にこりと笑って見せるとみんなして酒を勧めてきた。1つ1つ断り、今はオレンジジュースを飲んでいる。 …いない。 あの可愛い人がいない。 それが目当てで来たと言うのに、いないなんてショックだ。 「あの…お聞きしたいことがあるんです」 隣りで話していた先生に声をかけた。半分以上酔ってしまったような人で、クスクス笑いながら僕の話しを聞いてくれる。 「あー…多分それ、“クロハ ライキ”先生じゃないかなぁ?クスっ…」 「クロハ…ライキ?」 「美術の先生だと黒葉先生くらいしかいないよーうん」 そうか…クロハ ライキ。 僕の          可愛い人。       +
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