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下の階には自動販売機が設置してありお茶から酒から飲み物なら一通り揃っている。そのくせカップ麺の自販機はない。別にカップ麺が食べたいわけではないのだけど。
ぼーっと歩きながら自販機を見ていると視界の端に赤いものが写った。
真っ赤な髪…
「っ…」
思わず喉を鳴し、その自販機の陰に隠れている人物の姿を確かめようと少しだけ前屈みに歩いた。
…やっぱり。“黒葉 賚毅”。僕の可愛い人。
僕に気がついた彼はにこりと微笑み、目を伏せた。サラリと揺れる綺麗な髪。長い指で包み込むようにお茶の缶を握る手。少し多めの睫毛に欠伸の後のように水滴がついていた。彼の動き1つ1つが僕の胸を高鳴らせ、恋なんだと気付かせるのだ。
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