夢中

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    僕はその横を何も無かったかのように過ぎる。 あぁ、僕は意外とシャイなんだなぁ。 通り過ぎて黒葉先生が見えなくなった頃には、僕の頬は緩み、赤くなって。動悸が激しくなっていた。 ふらふらしながら壁に背を預けて胸を押さえる。 苦しい…。 心臓なんて止まってしまえばいいのにと思ってしまうくらいに苦しい。 「ははっ…声さえかけられないなんて…」 おはようございます、くらい言うべきだった。普通に挨拶くらい…はぁ。ご飯なんて喉も通らないな…止めた。朝食は今日はよそう。 「…もうお腹いっぱいだ」 朝から良いものを見た。 僕はそのまま軽い足取りでカウンセリングルームへと向かった。     *      
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