要先生は賚毅病

可愛いひと

ロス留学して帰って来た僕に待ち受けていたのは、彼岸花に囲まれた学校でした。

【可愛いひと】

髪型良し。
眼鏡はかけた。
スーツもばっちり。
ネクタイも新しいものに新調したし、靴だってピカピカに磨いた。
鏡の前でしっかりチェックを済ませた後に僕は小さく溜め息をついた。柄にも無く緊張してしまう。
1週間程前にロスから帰ってきたと言うのに、あっという間に就職先が決まってしまった。

“私立リコリス学園”

そこが僕の勤める学校。カウンセラーとしてやっと活躍出来る場所だ。長かった…学校のカウンセラーになるのにロスの大学院にまで行く必要は無かったんじゃないだろうか。
まぁとにかく、今日が学校へ行く最初の日なわけで少しだけ緊張してしまっている。
それでも行かなければならない。僕は仕方なく玄関のドアを開けた。