要先生は賚毅病

可愛いひと

「こんにちは。面接も無しに採用だったから驚いてるだろうと思うんだけど…すまないね。俺はここの校長、海原 結汰。よろしくね」
そう。僕の採用は紙1枚で決まってしまったのだ。まぁ…あまり気にはしてなかったけれど。
ウナバラ ユタ、ね。変わった校長。
「はい、よろしくお願いします」
「えっと…澤村要先生、だったね。早速だけど君の仕事場へ案内しよう」
ぽつりぽつりと歩く校長の少し後ろを歩く。どうやらカウンセリングルームに向かっているようだ。
「この学園は男子校でね。生徒も教師もみんな男だから…少しむさ苦しいかもしれないな。1週間前まではロスにいたんだってね」
「えぇ、留学のためにロスへ…むさ苦しいのには結構慣れてますよ。あっちでも寮でしたから」
へぇと頷き僕を少し見上げた。海原校長は僕より5cmほど背が低いようだ。不意に校長は前を指差した。