第1夜

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夕暮れ時の桜新町のサイレンから流れてくるは最近続発している連続発砲事件の要項なり 『ピー……町民の皆様にお知らせ致します 連続発砲事件の容疑者が依然逃走中です 日が落ちてからの外出は控えて頂きますようーー』 「ヒメお嬢様!」 そのサイレンの下の歩道から一人、メガネをかけた男がサイレンの一番上にあるメガホンに向け話しかける。 すると、 そのメガホンの上にいるヒメという人影は応える 「何?」 「約束のお時間です」 メガネはさらに詳しく旨を伝える。 ヒメは一言「ん」と答えると、ゆうに十メートルの高さはあるだろうメガホンの上からスッと飛び降りた。 「…やはりあのような連中に依頼するのは反対です」 メガネの位置を直しつつ男は言った頃 ちょうどヒメが地上に降りてきた。 驚くことにヒメは特になんの装備もしておらず、制服(冬服)姿で十メートルもの高さから降下してきた。もちろんなんの傷もない。 「メンツにこだわってらんないのよ」 ヒメは続ける 「解決できるならどんな手も使うし、猫の手だって借りるわ……それと、何度も言わさないで公務中は『町長』と呼ぶように!」 その凛とした口調にさすがのメガネの男も反論できないのか「は 申し訳ありません」 と ただその一言しか言えなかった。
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