第1夜

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公園。 ブランコ前で少し背の高い男の子と少し背の低い女の子が可愛く言い争っていた。   「やーん返してよーーーー返してよーーーーーアメ返してーーーー」 「ヤだよーーーだ!」 全く、返してあげればいいのに とアオは思いながらブランコに座って一部始終を見ていた。 「返してあげようよ」 と声をかけてみるが… 「やだよーー」 男の子は聞く耳をもたない。それどころか あからさまに何かひらめいた様子で 両手を一瞬後ろに隠し、両方とも握り拳で前に出す。 「ほらっ どっちに入ってるか当てたら返してやるよ!どーーーーっちだ?」 (ホントは後ろのポケットだもんね) 男の子は心で笑った。 アオはチラッと男の子の方を見た後、未だどっちに入ってるか悩んでる女の子に囁いた。 「え?どっちでもない?ホントは後ろのポケット?」 女の子は驚いた様子で律儀にもわざわざ復唱してくれた。 しかしそれ以上に驚いたのは男の子の方で… 「えええっ‼」 と声をあげさっきまでの威勢はどこへやら 「な…何でわかったんだよ~~~~~…」 と情けない声を出した。 アオはそんな2人の様子を見て微笑んだ。     ーーそして、来訪者来たる。
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