君と…僕と…

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あれから、僕らは毎日会っていた。そんな気がした。彼女と過ごす時間は、僕の世界だった。彼女と別れたあとの虚しさは、僕の心を苦しくさせた。だから、彼女と出来るだけ一緒に居た。 彼女の手が、虚しさという世界から、僕を救ってくれる。唯一の存在だった。そんな気がした。 あれから、一年が過ぎた。僕と彼女は、一年の月日を共に過ごした。 彼女と笑い、彼女と悲しみ、彼女と幸せを感じた。そんな日々が幸せで、僕は満ち足りていた。 彼女の存在が、この世界にあるだけで、僕は安心した。彼女という存在が、僕の居場所だったからだ。これからも、そうだと思う。 ある日の午後、彼女から電話がきた。 「ねぇ、今から会える」彼女のその声が、どこか震えているのを感じた。 「分かった。いつもの所でいい?」 「うん」 「じゃあ、今から行くね」 「待ってる」彼女の声が、僕の心を騒がせた。焦っている自分が居た。 彼女が離れて行く、そんな気がしてならなかった。走った。彼女の待つ場所へ... 「待った?」息を切らせてながら言った。 「少しだけ」彼女の声に、元気がないのが分かった。 「急にどうしたの?」 「あのね」彼女は、少し呼吸を整えてから話出した。
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