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「私ね、ちょっと間学校を休むの」
「どうして?」
「親の都合で」
「そうなんだ」僕は、別れを告げられると思っていたから、気持ちは少し晴れた。しかし、彼女との距離があくのは苦しかった。でも、これからも一緒に居れる事に感謝するべきだと、自分に言い聞かせた。
「ごめんね?でも、すぐ帰ってくるから」
「分かった。淋しいけど待ってる」
「ありがと」
その後、僕たちはこれから会えない分、沢山の唇を交わした。彼女の唇の温もりは、僕の心を温め続けた。彼女の吐息は、僕の体を温めた。
ちょっと位会えなくても、僕と彼女は繋がっていける。これからも、繋がっていけると、自分に言い聞かせた。
「じゃあ、そろそろ帰るね」
「うん」彼女のその言葉は、何故か僕を虚しくさせた。彼女の唇からの温もりも、消し去っていく。そんな気がした。
「またね」
「うん。待ってる」僕は歯を食いしばった。歯が欠けそうな位に、食いしばった。じゃないと、涙が零れそうだったからだ。
人間は、どうしてこんなに脆いのだろう。どうしてこんなに泣き虫なのだろう。どうしてこんなに淋しがり屋なのだろう。
僕の心は、どこか軽くて、その軽さが、淋しさをより強くさせた。
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