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「と言うことだから、今日からここで働いてもらうよ。早速だけどお仕事行ってきてね」
俺はナイフを片手に提げたまま、何故こんなことになってるのか理解することが出来ていなかった。
しかし、目の前にいる少女のような外見をした上司から放たれる覇気に圧されて言われるがままに、指定された場所に向かった
指定された場所は夜中の俺の通う学校だった。
夜の校舎に入って行く、すでに何らかの話が学校に通っていたようで鍵はされていなかった。
しかし、明かりは付けられておらず月明かりだけに照らされた暗い廊下。俺の恐怖心を呼び出されるのにさほどの時間はいらなかった。しかも、廊下に響くのは自分の足音のみ。
このような状態に置かれると嫌でも入学して間もない学校だが生徒の間で伝えられるこの学校の怖い噂話なんかを思い出してしまう。
俺はそんなことを考えながら、あの雇い主が言う黒い靄を探す。
実際、自分はそんなオカルトな話は全く信じてなどいないのでテキトーに回ってからさっさと帰るつもりだ。
はぁ、我ながら何故あんな訳のわからん奴の言うことを素直に聞いてしまうのだろうか?確かにあの覇気に圧されたのは事実だがそれが無くとも此処に来ていただろう。情けない性分だぁ。
また、くだらないこと考えてしまった。
もう何も考えるのは止めよう。おし、決定。
しかし、次の瞬間、ふっと思う、つか、もしオバケなんか出てきても渡れたこんなタダのナイフじゃ倒せないのでは?
…やべぇ、何考えてんだよ、俺は。まず、オバケなんかいる訳がないじゃないか。
今度こそ変な考えを振り払い階段に足を掛けた時、背後から呻き声が聞こえ咄嗟に振り返る。
「ひっっ!?」
そこには黒い靄が…
素早く横に跳ぶ、瞬間自分がさっきまでいた場所に強力な衝撃が襲った。
バコン!!
「うわっ」
シャレにならん。コンクリの床に穴が…
俺は死にたくない一心でとりあいずナイフをポケットから出して構える。構えは様になっている。昔、近所のおじさんとよくチャンバラをやっていて、なにげにこういうのが得意だったりするのだ。
ハッハッハッ、幽霊なんか一刀両断だぜ。
一瞬の対峙…
ハッ!! ふっとさっき考えていたこと思い出した。
やっぱ無理だ。俺は全力で出口を目指して走った。
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