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このいかにも天然そうなこの人は波原 縁(なみはら ゆかり)さん。
22歳の半人前ナースで特徴は多少大きな胸と薄黄緑色のウェーブをかけた髪だ。
俺の担当をしている看護士の人で、俺が病院に送られた後に色々教えてくれた人も縁さんである。
「いたたたたた、下が草でよかった。大丈夫です………あぁ!そうだ」
「!?」
縁さんがいきなり大声を出すから乙葉がびっくりしてる。
「浅風さん、そろそろ検査の時間ですから戻って下さい。早く戻らないと私が怒られるんですから」
プンプンした顔で俺に顔を近付けた。
(ちょ!!近い)
俺は二、三歩下がった後、
「わ、わかりましたからっ!すぐ戻りますって」
そう言って縁さんを落ち着かせる。
振り返った縁さんは、服に付いた草を払いながら病院の中に戻っていった。
「それじゃ、そういう事だからこれで」
「はい、あの、また来てくれませんか。もっと颯人さんとお話ししたいです」
乙葉は顔を赤くして返事を待っている。
「いいよ。俺ももっと話がしたい。乙葉のことをもっと知りたい」
そういうと乙葉は耳まで赤くなっていた。
他人がこの状況を見たら、口笛を慣らしたりしてからかったりするだろうか。
俺は下心を持っていた訳じゃない。
今の言葉にも深い意味なんて込めたつもりもない
もちろん乙葉が何故耳まで赤くしているかもわからなかった。
そう考えると、俺もなかなか天然だったのかも知れない。
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