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おもむろに彰ねぇが
「そういえばさっき樹の下で仲良く話してたの誰?」
と聞いて来た。
「ッ!?彰ねぇ見てたのか」
「うん!」
言い切った瞬間即答。
「いたんなら声かけろよ」
「だってすごく楽しそうに話してたから。だから邪魔しちゃ悪いからそのまま家帰っちゃった」
笑顔で言いやがった。
その笑顔がなんか腹立つ。
「彼女は春宮さんっていって偶然樹の下で会ったから話してただけ」
とりあえず紹介。
と言っても紹介出来るほど乙葉のことを知ってる訳じゃないけど。
「でも、明日また会うんでしょ?」
「そこまで聞いてたのか彰ねぇ!てか別れる時に言ったことだから全部聞いてんじゃねぇか!」
俺は怒鳴った。
廊下の端まで怒声は響く。
「え、ただの推測。そっか明日も会うんだ~。あと病院では静かにしなさい」
やられた。
怒りを通り越してあきれた。
しかもお姉ちゃんらしくしたつもりだろうが、その口元に人差し指を立てて注意する仕草が俺の怒りを更に引き立てる。
「あぁ!会うよ。またあの樹の下で」
「そっか。仲良くね」
またも即答。
駄目だ…やっぱりこの人には勝てない。
「それじゃ私バイトあるから帰るね。また来るから。ばいばい!」
彰ねぇは小さな嵐のように去っていった。
「彰ねぇと話すのってなんか……疲れる」
俺はため息をついた後、ベッドに身を委ねた。
そしてゆっくりとまぶたを閉じて深い眠りについた。
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